腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー


「暖は? 彼女いるの?」

「いない。最近別れた。おまえさんみたいに、皆上手くいくわけじゃねぇんだよ」

「……ごめん。でも、私も上手くいってるわけじゃない」

「それはなに? 依頼人として俺に相談してる?」

「…………え? 依頼?」

「そう。俺、弁護士。ちょうど櫻坂で飯食って来たから、今から仕事に戻るとこ」


 …………べ、弁護士!?


 いや、そう驚くことでもないのかもしれない。


 暖は高校の頃すごく頭が良かったし、隣の席ということもあって、私のバカさ加減に呆れて何度か勉強を教えてもらったことはあった。


 性格は難有りだが、勉強は分かりやすかった。


「ごめん、違う。ただびっくりして……」


 いくらなんでも、暖という弁護士の力を借りて、尚人にどうこうしたいとは、今は考えられない。


 尚人とは一年前の婚活パーティーで知り合った。


 話していて楽しくて、一緒にいて気が楽で。だから、尚人から『結婚を前提に付き合ってほしい』と言われて、舞い上がった。


 思い返せば、幸せな日々ばかりが蘇る。


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