腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
4.尽くし尽くされ揺らぐ心
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今日の仕事もなんとかやり遂げた。
辞めると決意して、辞表を出した時から気まずくて、店長のいつもの「あれやって、これやって」の頼み事が今日は一回たりともなかった。在庫の補充も、商品の品出しもさせてくれない。
辞める日まで、フロアに立ちながらお客さんの相手になるんだろう。上がる時間になった途端、
「有栖川さん、時間だからもう上がって」
と急かされ、逃げるように職場を出た。
今月末で退職と説明を受けたが、まだあと半月も行かなければいけない。早く辞めてしまいたい。
暖の事務所に戻ると、仕事部屋からパソコンのキーボードをカタカタと打ちまくる暖と真島くんがいた。
「お疲れ様。コーヒー淹れようか?」
体力を持て余した私は、せめて暖達の役に立ちたい。仕事部屋のドアを少しだけ開けそう尋ねると、
「和歌さーん、お帰りなさいー、ありがとうございます。チョコのケーキ、冷蔵庫に入ってるんで食べてください!」
「わあっ、チョコのケーキ?」
「今日、BUSAのカズが相談に来たんです!」
「えっ、ぶーちゃんが!?」