腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
「……いや、暖先生がそれで良いって言うならいいと思います。僕がとやかく言う権利ないんです。僕、本当にこの事務所好きで。暖先生と軽口言い合うのも好きだし、暖先生のご飯美味しいし、なんだかんだ、コーヒー淹れてくれるし。僕にパラリーガルなんだから、おまえが全部やれ、じゃなくて、ちゃんと一人の人間として接してくれて。仕事もやり甲斐あるし、楽しいです、すごく……」
「それなら、また、事務所に――」
「だから、最近の僕はたるんでたんだと思います。僕、違う法律事務所に来てほしいとさそわれてるんです、働いてほしいって。今のまま暖先生の元にいても甘えっぱなしだし、もっと暖先生の力になりたいんで……スミマセン、こんな別れ方で」
「…………真島くん。また、戻ってきてくれる?」
「僕、あんな風に出てきちゃったし、戻るのはさすがに暖先生に申し訳ないです」
真島くんは戻る意思を見せてくれない。
「だって真島くんは、暖の力になりたくて、スキルアップのために違うところ行くんでしょう? 暖も絶対分かってくれる」