腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
5.消えゆく想い新たな思い
マンション近くのコインパーキングに車を停め、大きめのバッグとまだ組み立てていないダンボールを数個腕に抱える暖。
「あの、暖。そのダンボールは?」
「これに和歌の残りの私物全部入れて。悪いけど、私物でソファーとかあったら置いてけよ」
「事務所に運ぶの?」
「いや、とりあえず俺の車に運ぶ」
「私も持つよ!」
「軽いから気にすんな」
いきなり実家に送り返したら、うちの両親がビックリしてしまうことを懸念しての、暖の優しさだった。
「ほら、部屋の番号なに?」
「あ、ごめん!」
テンキーに暗証番号を入力して入口のオートロックを開錠する。エレベーターで自分の階へと登り、部屋のドアの鍵を開けた。
ドアを少し開けると、
「うっ!?」
声に出してしまうほどの異臭が漂ってきた。
汚い……
足の踏み場もない。
こんな部屋、暖に見せられない。