腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
尚人から部屋が散らかっていると連絡はもらっていたけれど、ここまで酷いとは思わなかった。
尚人を一人にするとこんなに汚れるんだ、と、現実を目の当たりにした。
さすがに暖に見せるわけにはいかない。暖は尚人と違って仮眠室も事務所内もとても綺麗に使っているのが分かる。
「暖……私、行ってくるから。ここで待っててくれない?」
「なんでだよ、俺も入らせろ」
ドアを勢いよく開けてしまったため、異臭がすごいことになってしまった。
「ひでぇな。たかだか半月で、何したらこんな匂いになるんだよ」
「……尚人、片付け苦手だから」
「片付け苦手とか言うレベルじゃねぇ。それより、和歌の私物に異臭ついてなきゃいいけどな」
「……う、うん」
暖にこの臭いを嗅がせてしまったことを申し訳なく思いながら、恐る恐る部屋の中へ入り玄関のドアを閉めた。
食べかけのインスタントラーメンや、お弁当が散乱していて、洗濯しているのか、していないのか、分からないほどの衣類の山が床に散らばっていた。
「この部屋、ここで来るの最後にしろ。具合悪くなる」
「でも、会う約束してるんだけど……」
「事務所戻ったら、婚約破棄の内容証明をこの家に送る。それで俺も交えて、人がいる開放的なところで話し合う。このゴミ箱の量を見る限り、今日の夜にでも証拠出るだろ」
暖が「この山」と、目にしたゴミ箱の中身は大量のティッシュと、大量の使用済みの避妊具だった。