腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
「…………」
実際に証拠となるものを目で見てしまったら、なんともいえない気持ちになる。
「暖、これは証拠になる?」
「まあ、一応写真には収めるけど、確実な証拠にはならないな。一人でする時に使ってたとか言い逃れもできるし。……和歌、おまえは自分の私物を纏めとけ」
ダンボールとガムテープを渡され、リビングから出ていけ、と、背中を押される。
「寝室も入らなくていいからな。俺が一つ一つ確認しに持って行くし」
暖の言葉に甘えて自分の部屋で自分の物をダンボールに詰めていく。暖は家の中をくまなく見ているようだった。
洗面所にはもう一つ誰のものか分からない、シンプルなコップと歯ブラシがあり、それがもし浮気相手のものだとしたら、何度も泊まりに来ているんだろうなというのが分かる。
……もしかしたら、シャンプー、トリートメント、化粧水、置いて行った洋服。私の物を勝手に使われていた可能性がある。
「うぐっ……」
誰か分からない女に使われているだなんて、考えるだけで吐きそうだ。