腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
6.お金じゃ代えられない代償(暖Side)
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和歌への見返りは「弁護士費用はいらないから、俺と結婚してほしい」というものだった。その結果がこれだ。
やってしまった。本当はあんなことを言うつもりではなかったのに、自分の心に余裕がなくて、真島まで失ったのに和歌まで失いたくなくて。
咄嗟に誤魔化してはみたけれど、絶対に誤魔化せていない。
和歌の、あの、気まずそうな表情が俺の脳裏に焼き付いて離れない。
せっかくこの半月慎重に動いていたのに、最後の最後で台無しにしてしまった。
こんな風に自分の気持ちを伝えるつもりじゃなかった。俺の、この、長年胸に秘め続けていた想いは、あんなに軽く伝えるほど軽率じゃない。
ーーけれど、尚人の元へ内容証明書が届いたら、和歌へ連絡がくることは分かっている。
もう、終わらせる準備はできている。
俺の要求を強引に押し付けるより、少しは意識して覚悟してほしかった。ただそれだけだった。それだけで、あんな大それたことを言ってしまった。
「はあ、ったく、なにやってんだ俺は……情けねぇ……」