腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
頭を抱えている時、俺のスマホの着信音が鳴り響いた。着信相手は和歌。この電話に出たら、真島の時みたいに『もう辞める』と言われてしまうのだろうか。
ごくっと息を呑み、「はい、東郷です」電話に出た。
『暖……どうしよう、尚人から連絡きてた』
和歌の声はパニックになっており、震えていた。
「……連絡?」
『うん。私の荷物が無いのバレたみたい。なんで和歌の荷物がないのって……スマホ切ってて気づかなかったんだけど、電源つけたら凄くメッセージが届いてて。電話した方が良いのかな……』
『それにお母さんからも連絡来てたの』と、不安な声を上げていた。
確かに、昨日の今日だ。
和歌が出て行ったことは知られていて当たり前だ。
もしかしたら和歌の実家にも連絡しているのかもしれない。
「もう内容証明書は出したか?」
『――ううん、まだ……』
「出さずに、その場で待機してて。俺がそこに行くまで、尚人に連絡返さなくていいから。親にも連絡すんな」
急いでパソコンにメモリーカードが入っているか確認して、尚人の確たる証拠を突き出せる準備をし、仕事で使う鞄を手に持ち、事務所を出た。