つれない男女のウラの顔
「ごめんな」
優しく頭を撫でられ、咄嗟に「いえ…」と返したけれど……どうして謝ったの?
「私もまだ心の準備が出来ていなかったので…」
嘘だ。いや、嘘ではないけど本当はもっと触れてほしかった。怖くてもその先に進みたかった。
途中でやめた理由は、私があまりにも彼に全てを任せすぎたから?それとも声が変だった?力みすぎて色気がなかったとか?
それとも───勃たなかったから?
成瀬さんは元々異性に興味がない人だった。だから性欲もあまりないのかもしれない。これが草食系男子ってやつなのだろうか。
「…そうか」
成瀬さんはそう言うと、一瞬ほっとした表情を見せてから私の隣に寝転がった。再び頭を撫でた彼は、私の額にそっとキスをした。
今絶対にほっとしてた。想像以上にショックだ。
私が欲張りすぎ?まだ付き合ったばかりなのに焦りすぎ?
分からない。でもキスをしてくれたということは、嫌われてはいないはず。だけど些細なことが不安になる。
付き合えて幸せだと思っていた。でもそれがゴールではないらしい。
───この冷めない熱は、どうすればいいの。