つれない男女のウラの顔
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「あっ…」
快感に身を捩り、シーツを掴む。熱気に包まれた部屋には、私の甘い声と衣擦れの音が響いている。
あのあとソファの上で何度も口付けを交わした私達は、昨日と同じように成瀬さんに抱えられながらベッドに移動した。
何も言わなくても部屋を暗くしてくれた成瀬さんに、胸がきゅんとときめいた。彼は私の服を一枚一枚丁寧に脱がせると、私の体を見て「綺麗だな」と囁いた。
そのあとの彼は、昨日とは比べものにならないほど性急に私を求めた。そこで初めて、昨日はだいぶ我慢してくれていたのだと気付いた。
今まで感じたことのない刺激は、何も考えられなくなるほどの快感だった。最初は探るような手付きで私の身体に触れていた成瀬さんだけど、徐々に私の弱いところを覚えてきたのか、反応をたのしむように甘い攻撃を仕掛けてくる。
片方の手は膨らみに、もう片方の手は私の中に。はじめは声を我慢することに集中していた私だけれど、今はそんな余裕も残っていない。
もう何分…いや、何十分経ったのだろう。ベッドに移動する時、成瀬さんは「最初だからゆっくり時間をかけよう」と言った。そのせいか、執拗に攻め立てられ、今では少し触れられただけで反応してしまう。
「んっ、ん…」
「ここが好き?」
「わ、かんな…あっ」
どこがいいかと尋ねられても上手く答えられないけれど、勝手に反応する身体を見て、成瀬さんは私の弱い部分を把握しているようだ。
あるところを刺激されると、勝手に声が漏れ下腹部に力が入った。それに気付いた彼が、同じところばかり刺激してくる。
「…ふ、ぅっ……旭、さん…私の体力が…既に限界を迎えそう…です…」
「でも最初だから、いっぱいほぐしておかないとな」
恐らくまだ序盤なのに、インドアな生活を送っていたせいか既にくたくた。このままでは、昨日と同じように中断してしまうのではないかと不安が過ぎる。
けれど彼の手が止まる気配はない。激しさはないけれど、じわりじわりと追い詰められている感覚に襲われる。