つれない男女のウラの顔
息が上がり、身体にはじんわりと汗をかいているのが分かる。それなのに成瀬さんは私の身体を堪能するようにお腹や腰、太腿に次から次へと口付けをしていく。
恥ずかしいのに抗えない。成瀬さんがリップ音を鳴らす度に、ぴくんと小さく身体が跳ねる。
「…あさひ、さん……っ」
自分が不感症だったらどうしようという不安があったけど、その心配はいらなかったようだ。成瀬さんが指を動かす度に卑猥な水音が響くから、思わず耳を塞ぎたくなる。
「…そ、こ…んっ…だめ、です……ああっ…」
だめって言ってるのに、敢えてそこばかりを擦る成瀬さんの手を慌てて止めようとした。けれどその手は呆気なくシーツに縫い付けられ、逃げられない快感に体を弓なりに反らせた。
頭がぼうっとする。呼吸が乱れる。
成瀬さんは一度手を止めると、優しく目を細め、汗で濡れた髪をそっと撫でてくれた。
「大丈夫か?痛くない?」
「はい…痛みはありません。でも体力が…声もうるさくてごめんなさい…我慢できなくて…」
「我慢しなくていい。感じている京香を見ると嬉しくなるから」
「声、変じゃないですか?」
「可愛いよ。もっといじめたくなる」
ふっ、と優しい笑みを零した成瀬さんは、覆い被さるようにして私の唇を塞いだ。口内をくすぐられ、思わず甘い声が漏れると、成瀬さんは「ほら、可愛い」とゆるりと口角を上げた。
その艶っぽい笑みにぞくりと身体が震えた。始まってからだいぶ時間が経つのに、ずっと身体の熱が消えてくれない。成瀬さんに聞こえてしまいそうなくらい、心臓が激しく音を立てている。