つれない男女のウラの顔
どれくらい時間が経っただろうか。ズン、と奥を貫かれたような感覚と同時に、痛みだけでなく甘い刺激を感じた。思わずくぐもった声が漏れると、彼が再び私の頭を撫でた。
「京香、全部はいったよ」
大丈夫か?よく頑張ったな。そう続けた彼の言葉に、自然と涙が溢れた。
ヒリヒリとした痛みと共に、下腹部に感じる圧迫感。やっと成瀬さんとひとつになれたのだと、身体で感じ取ることができた。
体を密着させた状態で、至近距離で視線が絡む。滲んだ視界の先に見えた彼は、愛しそうに私を見つめていた。
「旭さん…いま、とっても幸せです」
彼の熱を感じる。それがたまらなく幸せだった。
「俺も」と目を細めた成瀬さんは、繋がった状態のまま、私の額、頬、唇に何度も何度もキスを落とした。
くすぐったさに身をよじる。するとその微かな動きで下腹部に刺激が加わり、思わず体を強張らせた。
「あ…旭さんは、どうしてそんなに、余裕そうなんですか…」
「…何度も言ってるだろ。余裕なんか1ミリもない。実はかなり緊張してる」
「うそ…そんな感じには…」
「俺の胸に手を当ててみればわかる」
言われた通り、そっと手を当ててみる。と、クールな表情とは反対にそこは驚くほど脈打っていた。
「ほんとだ……」
成瀬さんも私と同じ気持ちなんだ。
それがただただ嬉しくて、幸せで、また涙が溢れ出した。
「どうした?痛いのか?」
涙を流す私を見て、成瀬さんが心配そうに私を見下ろす。
「違います…いや、ちょっと痛いけど…これは嬉し泣きです…」
けれどすぐに否定すると、成瀬さんは安堵の表情を見せた。
「京香、ゆっくり動いてもいいか?」
「…はい」