つれない男女のウラの顔
「…んっ………ふ、ぅっ……」
成瀬さんがゆっくりと動きはじめると、その痛みにシーツを握り締めながら耐えた。
「ぁっ…んんっ」
けれどその痛みは次第に快感へと変わっていく。奥を刺激される度に甘い声が漏れ、緊張や少しの恐怖心、色々な感情が混ざって何も考えられなくなる。
成瀬さんは私の様子を伺いながら進めてくれているのに、私は彼を気にする余裕なんてない。
「あっ…あ、さひ、さん…っ」
成瀬さんの存在を確かめるように名前を呼んだ。それに答えるように「京香」と私を呼ぶ彼は、律動を繰り返しながら私の手を握った。その熱に安堵して力が抜けると、その直後に奥を突かれてビクンと身体が跳ねた。
まるで電気が走ったような感覚。目がチカチカする。彼の熱が、刺激が、呼吸を狂わせる。
徐々に動きがはやくなると、これまで感じたことのない快感が私を襲った。シーツに爪を立て、身体を震わせながら喘ぐことしかできなかった。
正直言うと、そこからの記憶はあまりなくて。
ただ、生理的な涙で視界が滲む先で、余裕のない彼の表情を見て安心したのを覚えている。
時折聞こえてくる苦しそうな声に興奮を掻き立てられた。成瀬さんも私を感じてくれていることが嬉しかった。
どれくらいの時間、身体を重ねていたのかは分からない。とにかくいっぱいいっぱいで、何も考えられなかったけれど、本当に幸せで、心が満たされた時間だった。
初めての相手が成瀬さんでよかったと心から思えた。
「旭さん…大好きです」
情事後、残りの体力で何とかそのひと言を紡いだ私は、そのまま彼の腕の中で意識を手放した。