つれない男女のウラの顔

「てか隣の部屋ってことはいつでも会えるじゃねえか。毎日会ってんの?一緒にご飯食べたり?まさか…既にお泊まりしてたり…」

「…だったら悪いか?」


一応毎日のように顔を合わせてはいるが、実はここ数日仕事が立て込んでいて、あの日以来あまり同じ時間を過ごせていない。休日も俺は仕事に出ていたから、外出も出来なかった。

まぁ食事と風呂を済ませた京香が俺の部屋に来て一緒に寝ることもあるから、充分満足はしているのだが。


ちなみに、数日前に二度目(・・・)をした。初めてのあの日とは違い、京香はあまり痛みを感じなかったらしく、前回よりかなりスムーズにできたと思う。

本当は毎日でも抱きたい勢いだが、京香の身体の負担を考えるとあまり手を出せない。でも、この繁忙期が終わったら…反動がやばそうだ。


「くうー!この破廉恥男!てか普段無愛想なくせに何ニヤけてんだよ!彼女にはデレデレってやつか?!うん、気持ちは分かるぞ!」

「にやけてない。てかうるさい」

「そしてまた社内の人気者に手を出してしまったな!塩対応の研究変態が、あのガードが固いことで有名な花梨さんをどうやって落としたんだよ!この俺でも20年も片思いしたっていうのに!ちなみに(サキ)も学校では人気者だったぞ!昔から死ぬほど可愛かったからな!」

「研究変態ってなんだよ。てかうるさい」

「もしかして今日も会うのか?もうさっさと同棲してしまえよ。楽しいぞ。毎朝毎晩顔が見られるって最高だぞ。眠い顔も寝顔も寝起きの顔も尊いぞ。お風呂に一緒に入った時には………やべ、思い出して鼻血出そう」

「職場で何考えてんだ。てかうるさい」


そろそろこの男を黙らせてくれないか。さっきから遠回しにマウントを取られているように感じる。

てかこの男、さすがに愛が重すぎないか。嫁も大変だな。

………まぁ、死ぬほど可愛いと思ってしまう気持ちは、分からないでもないが。
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