つれない男女のウラの顔
そしてあのタイミングで石田から連絡が来るとは思わなかった。しかも鍵の件だというから何か引っかかった。
けれど、その電話を強制的に終わらせたのは本当に無意識。通話を切ったあと、自分で自分の行動に驚いた。
目の前で石田と会話をする花梨を見ていると無性にモヤモヤした。気付いた時には花梨からスマホを奪っていた。
花梨が困っていたからとか、相手があの石田だからという理由も勿論ある。だけど、本当にそれだけだっただろうか…?
石田に会わせないに越したことはないが、俺が電話に出なくても、通話を終わらせる方法は他にもあったはずだ。衝動のままに行動するとか俺らしくない。
挙句の果てに“今日は俺の部屋を使えばいい”って……俺、もしかして石田以上にやばいやつ?セクハラ上司で訴えられる?
軽率な発言をしてしまったと、今更後悔している。が、もう後戻りは出来ない。
ポカンとしている花梨を見て、思わず赤面してしまった。そんな俺の顔を見た花梨の顔も、瞬く間に赤くなった。
花梨といると、なぜか自分を見失う。歯止めが効かない。
…でも、放っておけないんだから、仕方がないだろ。