つれない男女のウラの顔
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食事が終わり、成瀬さんがお風呂に入っている間、私はソファでくつろぎながら2本目のビールをいただいていた。
アルコールのせいでふわふわする。それに加え、ふいに成瀬さんの匂いが鼻腔をくすぐるから身体が熱い。
「三人兄弟の末っ子で、男子校…」
成瀬さんとの会話を思い出しては顔がニヤける。ほんの少しだけど、彼のことを知れたのが嬉しい。
一応テレビをつけているけど、全然内容が入ってこない。成瀬さんの低く落ち着いた声や、男らしい骨ばった手、スラッと逞しい身体が頭の中を支配して、他のことが考えられない。
「まだ起きてたのか」
「ぎゃ!」
頭の中で繰り返し再生していた声が、ダイレクトに耳に届いた。いつの間にそこにいたのか、成瀬さんは間抜けな声を出した私を見て「更に赤くなったな」と口角を上げる。
「酔い潰れてそのまま寝るかと思った」
「赤くなるだけで、お酒に弱いわけではないんです」
ぶすっと不貞腐れてみるけど、それよりも成瀬さんの笑顔に目を奪われて、心は乱れまくっていた。
反則ですよ、その顔。しかもお風呂上がりの彼は濡れた髪が色気を倍増させていて、男慣れしていない私には刺激が強過ぎる。
こんな状態で眠れるわけがない。むしろ朝までギンギンに目が冴えてしまいそう。
「わ、私 今日は玄関で眠らせていただきます」
「どんな冗談?てかうちには来客用の敷布団がないから、花梨は俺のベッドを使ってくれたらいい。俺はソファで寝る」
「そんな図々しいことできませんよ。だったら私がソファで…」
「いやだから、それは俺が無理であって…」
「なら私はラグの上で…」
「埒が明かないな。だったらふたりでベッドで寝るか?」
「…………えっ」
想像して、ボンッと頭が沸騰した。拒否する余裕もないくらいキャパオーバーだった。
私の反応を見た成瀬さんの顔も、じわじわと赤くなっていく。
食事が終わり、成瀬さんがお風呂に入っている間、私はソファでくつろぎながら2本目のビールをいただいていた。
アルコールのせいでふわふわする。それに加え、ふいに成瀬さんの匂いが鼻腔をくすぐるから身体が熱い。
「三人兄弟の末っ子で、男子校…」
成瀬さんとの会話を思い出しては顔がニヤける。ほんの少しだけど、彼のことを知れたのが嬉しい。
一応テレビをつけているけど、全然内容が入ってこない。成瀬さんの低く落ち着いた声や、男らしい骨ばった手、スラッと逞しい身体が頭の中を支配して、他のことが考えられない。
「まだ起きてたのか」
「ぎゃ!」
頭の中で繰り返し再生していた声が、ダイレクトに耳に届いた。いつの間にそこにいたのか、成瀬さんは間抜けな声を出した私を見て「更に赤くなったな」と口角を上げる。
「酔い潰れてそのまま寝るかと思った」
「赤くなるだけで、お酒に弱いわけではないんです」
ぶすっと不貞腐れてみるけど、それよりも成瀬さんの笑顔に目を奪われて、心は乱れまくっていた。
反則ですよ、その顔。しかもお風呂上がりの彼は濡れた髪が色気を倍増させていて、男慣れしていない私には刺激が強過ぎる。
こんな状態で眠れるわけがない。むしろ朝までギンギンに目が冴えてしまいそう。
「わ、私 今日は玄関で眠らせていただきます」
「どんな冗談?てかうちには来客用の敷布団がないから、花梨は俺のベッドを使ってくれたらいい。俺はソファで寝る」
「そんな図々しいことできませんよ。だったら私がソファで…」
「いやだから、それは俺が無理であって…」
「なら私はラグの上で…」
「埒が明かないな。だったらふたりでベッドで寝るか?」
「…………えっ」
想像して、ボンッと頭が沸騰した。拒否する余裕もないくらいキャパオーバーだった。
私の反応を見た成瀬さんの顔も、じわじわと赤くなっていく。