振り向いて、ダーリン!
ーーーミンミン、ミンミン……。
ーーーチリンチリン……。
「……天国はここにあったか」
縁側で身体をなげうって寝転がり、揺れる風鈴を眺めながら、思わずそう言葉が漏れた。
私は今、実家に来ている。
といっても、正確には私のじゃない。
私の母のだ。
母とは頗る仲が悪いが、祖父母は可愛がってくれるので、たまにこうして逃げくる時がある。
でも、たまにといっても何年ぶりだ?
8年くらいかな……。
私はふと、こうしてのんびり考え事をできる幸せをかみ締め、寝返りをうった。