ラピスラズリ ~前世の記憶を思い出した伯爵令嬢は政略結婚を拒否します~
第3章

婚約者候補になりました

ベルナルド様は私とのお付き合いを国王に報告した。

正式な婚約の前に結婚を前提としたお付き合いというやつをしたいとお願いしたのだった。

王族との結婚は簡単に離婚できるものではないのだから、一緒に過ごして王族のことを理解した上で、互いに愛を育みたいと。
だから、婚約者候補は私一人にして欲しいと伝えたそうだ。

なんと珍しいわがままなお願い事だったけれど、国王は喜んで許可を出してくださった。

ベルナルド様は事故の後はずっと結婚を拒んでいらっしゃったので、他の人との結婚にほんの少しでも興味を示したことに安堵したとのことだった。

私は父から重い期待を持たれたのは当然だったか、国王からもベルナルド様の事を頼まれてしまった。

「ベルナルドには幸せになって欲しいのだ。あやつの心を開いてほしい、よろしく頼む」
と頭を下げられてしまった。
弟想いの国王だけれど、簡単に頭を下げるのはどうなんだと人間味が溢れすぎる国王に対し心配になる。
同時に、心の中で深く深くお詫びした。

申し訳ございません。
契約婚約者候補(長いな)です。
実際に結婚することはないのです。と。


こんな感じで弟想いの国王だから、マルクス王子殿下が横から反対だと叫んだところで、私が婚約者候補から外れることはなかった。

それどころか「階段から落ちた心臓の鼓動と恋愛の鼓動はよく似ておるからな。すぐに勘違いに気が付くであろう」と、吊り橋効果が長く続かない事をよくご存じのようだった。


お祝いムードの中、マルクス王子殿下は不満たらたらな表情をしていた。


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