ラピスラズリ ~前世の記憶を思い出した伯爵令嬢は政略結婚を拒否します~
しばらく私たちは何も言わず、閉じられたドアを見つめた。


「婚約ではなく、婚約者候補が一人に絞られただけどな」
と呟くベルナルド様に、
「なんだか・・・罪悪感で胸が締め付けられそうです」
と言うと、
「いや。よいことをしたのだ。罪悪感など不要だ」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」

「ちょっと、ベルナルド様。『よいこと』って何ですか?
まるでマルクス王子が私から離れてよかった~みたいな言い方ですわよ」

ベルナルド様に文句を言うと、横からルーカス様が
「毒牙からのがれたのですから、よかったというのは事実でしょう?」
と口を出した。

すると、アイシャが、
「カノン様はお美しくて、賢くて、優しいお方です!
『毒牙』なんてありません!」
と怒った。

「アイシャあああああ♡」
と抱きしめると、ベルナルド様が笑いながら、
「はいはい、3人ともそのくらいにしてこれからのことを決めて行くよ」
と言った。


それぞれ椅子に座った4人はテーブルを囲んでこれからの予定を詰めていった。



***


国王の許可が出た後で大きく変わったことは2つ。
一つは毎日行っていたご機嫌伺いに行かなくなったこと。
もう一つは週に1回、ベルナルド様と昼食をご一緒したり、お出かけをするようになったことだった。


「(デート的なヤツは)いりますか、それ?」
と言うと、
「「「いるだろう(でしょう)」」」
と声を合わせて言われてしまった。

仕方ないので、お茶を飲んだり、庭を散歩したりしてみた。

ううーん。やっぱこれいる?
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