ラピスラズリ ~前世の記憶を思い出した伯爵令嬢は政略結婚を拒否します~
私は目を閉じ、フウッっと小さく息を吐いて目を開けた。

ベルナルド様と目があう。

「1、2、3、1、2、行くぞッ、1、2、3、1、2,3。うん、いい感じ。そのまま踊ろう」

瑠伽のことに気を取られないように、ベルナルド様の動きに集中した。

ベルナルド様と目があい、微笑んだが、私の心は締め付けられるような痛みを感じていて、きちんと微笑むことができているか不安になって、視線を落とした。

「カノン、俺を見ろ」
え?

顔を上げ、ベルナルト様を見ると、にやりと不敵な笑みを浮かべられた。

え?

重ねている右手をぎゅっと握られ、背中に添えられた手に力が入り体を引き寄せられ、ふわりと体が浮く。

え?

そのまま、グルんと1周回った。

ええ?!

「行くぞッ」

「1、2、3、1、2、3」

いきなり歩幅が大きくなった。

「ええええ!?」
「ステップは同じだ。大丈夫、俺の動きを感じて。1、2、3、1、2、3」

ベルナルド様の動くタイミングを感じながら、心の中でカウントを数える。
タメがより深くなって、より動きがダイナミックになっていく。

ひえええええ!
ついていくだけで必死だ。
クルッと回って、『次はこっち』、『次はこっち』と行く方向も角度で伝えてくる。
大きなステップに風を感じて、目を丸くする。

次第に頭がクリアになっていく。
ダンスに集中していく。


もう一度クルッ。
「キャッ!」

あははは。
思わず笑みがこぼれた。
ベルナルド様と視線が合い、互いに笑顔になる。
ダンスってこんなに楽しいのね。

ふふふ。





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