ラピスラズリ ~前世の記憶を思い出した伯爵令嬢は政略結婚を拒否します~
※※※
高層ビル。
車群。
横断歩道。
視界に入る植物は、歩道脇の花壇と等間隔に植えられた街路樹だけ。
色が変わったばかりの横断歩道の前に立つ私の横に小学生の女の子が並んだ。
その体に対してまだ大きな新品のラベンダーカラーのランドセル。
新一年生だろうな、可愛いな。
なんて思って横目に見ていると、鞄の中からスマホの着信音がした。
左肩に掛けた鞄の内ポケットからスマホを出して、メッセージを確認した。
「もうすぐ着くよ」
というメッセージに少し微笑んで返信を打つ。
お揃いの塾鞄を背負った小学生たちがふざけ合いながら背後を通る。
「キャッ」。
私の隣に立っていた少女が押され、前かがみに転んだのが視界の片隅に見えた。
危ないッ!
咄嗟に手を伸ばして、四つん這いになりかけた女の子の腕を勢いよく引っ張った。
女の子が私の後方に引っ張れたけれど、勢い余った私は車道に飛び出してしまった。
ちょうど自動車の信号が黄色から赤に変わる瞬間で、信号が変わる前にと思ったのか、一台のトラックがスピードを上げて無理やり突っ込んできた。
そして、私の体はーーーーーードン。低い音をあげた。
※※※
「……奏音……奏音……」
薄れ行く意識の中、私を呼ぶ声がする……。
私の、頭に触れる震える指先。
…だ……れ…?
…瑠璃?……カノ…カノン様……。
「カノン様っ」
高層ビル。
車群。
横断歩道。
視界に入る植物は、歩道脇の花壇と等間隔に植えられた街路樹だけ。
色が変わったばかりの横断歩道の前に立つ私の横に小学生の女の子が並んだ。
その体に対してまだ大きな新品のラベンダーカラーのランドセル。
新一年生だろうな、可愛いな。
なんて思って横目に見ていると、鞄の中からスマホの着信音がした。
左肩に掛けた鞄の内ポケットからスマホを出して、メッセージを確認した。
「もうすぐ着くよ」
というメッセージに少し微笑んで返信を打つ。
お揃いの塾鞄を背負った小学生たちがふざけ合いながら背後を通る。
「キャッ」。
私の隣に立っていた少女が押され、前かがみに転んだのが視界の片隅に見えた。
危ないッ!
咄嗟に手を伸ばして、四つん這いになりかけた女の子の腕を勢いよく引っ張った。
女の子が私の後方に引っ張れたけれど、勢い余った私は車道に飛び出してしまった。
ちょうど自動車の信号が黄色から赤に変わる瞬間で、信号が変わる前にと思ったのか、一台のトラックがスピードを上げて無理やり突っ込んできた。
そして、私の体はーーーーーードン。低い音をあげた。
※※※
「……奏音……奏音……」
薄れ行く意識の中、私を呼ぶ声がする……。
私の、頭に触れる震える指先。
…だ……れ…?
…瑠璃?……カノ…カノン様……。
「カノン様っ」