冷酷な御曹司は虐げられた元令嬢に純愛を乞う
夕方、司は待ち合わせ時間に近付き、慌てて鈴木の車に乗り込む。
「お疲れ様です。ちょっと道が混んでいて時間に間に合わないかもしれません。」
平日夜にも関わらず、露店が出るから人も多いのだろう。鳥居で待ち合わせをしたから、今頃人混みでごった返しているだろう。
莉子と学は先に待っている筈だから、少しでも早く到着しなければと、司の気持ちは人知れず焦っていた。
学は話し上手で人当たりが良い。
いつも仏頂面の俺なんかと比べたら、愛想も良いし女子の扱いも長けている。そんな奴と長く接していれば誰だって惹かれるだろう。莉子だって…。
そういう不安が司の中には既に芽生えていて、莉子を奪われやしないかといつも内心ハラハラしているのだ。
境内に入る手前からかなりの人混みで、司は仕方なく途中で車を降りて走る事にする。
人混みを掻き分け、赤い鳥居をひたすら目指す。
見つけた。
莉子は赤い振袖姿に、先日百貨店で買い揃えたばかりの暖かなえんじ色の羽織に手袋、ストールも巻いて、少し粉雪が舞う中、鳥居の片隅で学と並んで立っていた。
学も今夜は着物に紺のトンビコートを羽織っている。
側から見たら似合いの2人に見えてしまうから、司の嫉妬心はズキズキと疼き、下唇を噛んでなんとかその怒りを鎮めなが2人に近付く。
「申し訳ない、待たせたか。」
莉子に声をかけて側に行くと、パァーっと華が咲いたよな笑顔を向けてくれるから、その笑顔でどうにか逆立った気持ちが落ち着く。
「お疲れ様でございました。お仕事の方は大丈夫ですか?お忙しいのにありがとうございます。」
莉子が嬉しそうに頭を下げて司に近付く。
司は莉子の髪に少し積もった雪をささっと祓い退け、何事も無いような振る舞いで、
「大丈夫だ。後は挨拶周りだけだから大した事無い。
それよりも、花街の者は既に入ったのか?」
「それが…まだのようなんだ。
出来ればこの場所で声をかけれたらと思っていたのに、まだ現れない。」
学が通り過ぎる人々から目を離さずそう言う。
「他にも入り口があるから、裏から入ったのかもしれない。祭事の舞台は観れるだろうか?最悪その後を捕まえるしか無い。」
学と司で莉子を守りながら鳥居をくぐる。
背の高い2人の間に守られたら、人混みに押し潰される事も無く程よい空間が出来て歩きやすいが、足の長い2人に合わせて、莉子は少し早歩きで着いて行く。
それに気付いて司が少しスピードを落とし、莉子の背中を優しく支える。
「すまない。少し歩みが早かったか?一旦休むか?」
近くに丁度厄除け団子が食べられる店がある。指を指して、ここから通り過ぎる亜子を捕まえようと、団子屋の軒下にある長椅子に3人で座る。
莉子は温かいおしる粉を食べ、司と学はそれぞれみたらし団子を食べている。3人は人々の波をひたすら見つめて、それらしき団体がいないかと目を凝らす。
「お疲れ様です。ちょっと道が混んでいて時間に間に合わないかもしれません。」
平日夜にも関わらず、露店が出るから人も多いのだろう。鳥居で待ち合わせをしたから、今頃人混みでごった返しているだろう。
莉子と学は先に待っている筈だから、少しでも早く到着しなければと、司の気持ちは人知れず焦っていた。
学は話し上手で人当たりが良い。
いつも仏頂面の俺なんかと比べたら、愛想も良いし女子の扱いも長けている。そんな奴と長く接していれば誰だって惹かれるだろう。莉子だって…。
そういう不安が司の中には既に芽生えていて、莉子を奪われやしないかといつも内心ハラハラしているのだ。
境内に入る手前からかなりの人混みで、司は仕方なく途中で車を降りて走る事にする。
人混みを掻き分け、赤い鳥居をひたすら目指す。
見つけた。
莉子は赤い振袖姿に、先日百貨店で買い揃えたばかりの暖かなえんじ色の羽織に手袋、ストールも巻いて、少し粉雪が舞う中、鳥居の片隅で学と並んで立っていた。
学も今夜は着物に紺のトンビコートを羽織っている。
側から見たら似合いの2人に見えてしまうから、司の嫉妬心はズキズキと疼き、下唇を噛んでなんとかその怒りを鎮めなが2人に近付く。
「申し訳ない、待たせたか。」
莉子に声をかけて側に行くと、パァーっと華が咲いたよな笑顔を向けてくれるから、その笑顔でどうにか逆立った気持ちが落ち着く。
「お疲れ様でございました。お仕事の方は大丈夫ですか?お忙しいのにありがとうございます。」
莉子が嬉しそうに頭を下げて司に近付く。
司は莉子の髪に少し積もった雪をささっと祓い退け、何事も無いような振る舞いで、
「大丈夫だ。後は挨拶周りだけだから大した事無い。
それよりも、花街の者は既に入ったのか?」
「それが…まだのようなんだ。
出来ればこの場所で声をかけれたらと思っていたのに、まだ現れない。」
学が通り過ぎる人々から目を離さずそう言う。
「他にも入り口があるから、裏から入ったのかもしれない。祭事の舞台は観れるだろうか?最悪その後を捕まえるしか無い。」
学と司で莉子を守りながら鳥居をくぐる。
背の高い2人の間に守られたら、人混みに押し潰される事も無く程よい空間が出来て歩きやすいが、足の長い2人に合わせて、莉子は少し早歩きで着いて行く。
それに気付いて司が少しスピードを落とし、莉子の背中を優しく支える。
「すまない。少し歩みが早かったか?一旦休むか?」
近くに丁度厄除け団子が食べられる店がある。指を指して、ここから通り過ぎる亜子を捕まえようと、団子屋の軒下にある長椅子に3人で座る。
莉子は温かいおしる粉を食べ、司と学はそれぞれみたらし団子を食べている。3人は人々の波をひたすら見つめて、それらしき団体がいないかと目を凝らす。