冷酷な御曹司は虐げられた元令嬢に純愛を乞う
「…う〜ん。」
莉子が身じろぎ、瞼が揺れる。

「おはよう。」
司は満面の笑みを見せ、寝起きでぼぉーっとしている莉子の額に口付けを落とす。

「…お、お、おはよう…ございます。」

寝起きに司の笑顔は破壊力が大きくて、莉子は両手で顔を隠す。

「昨夜の莉子は可愛かったが…少し無防備過ぎはしないか?お陰でなかなか寝付けなかったが、思いがけず深く眠れて頭はスッキリしてる。」

「…申し訳、ありませんでした…。」
恥ずかしくて、両手で顔を隠したまま莉子は謝罪する。

「謝罪は要らない。それだけ打ち解けてくれたんだと思うと嬉しかった。
…ただ、忍耐に耐えたんだ。褒美を貰ってもいいんじゃないだろうか。」

褒美とは?
莉子は首を傾げ、指の隙間から司をそっと垣間見る。

優しく両手を外されたかと思うとぎゅっと大きな手に繋がれて、身動きが取れない。

戸惑いを隠せない莉子の頬に容赦なく口付けが降り注ぐ。

そのまま、唇を奪われて息つく間もなく呼吸が乱れる。それでも怖いと思わないのは、司の手がとても優しく莉子の髪を撫でてくれるから…。
 
何度も角度を変えて降り注ぐ口付けを、いつしか心地良いと思ってしまうのは何故なのか…。

お腹の奥がきゅんとして身体が熱くなってくるのがなんなのか…莉子には良く分からない。

息苦しさで無意識に唇を薄く開けて息を吸おうとすると、そこに司の舌先が入り込み、否応無しに口内を蹂躙される。

舌先を舐められて、お腹の下がぎゅっと熱くなる。

それでも司を止められないのは、この人にとってこれがご褒美なんだと、それを与えられるのが、自分なのだと嬉しいく思ってしまうから。

司と繋がれたままの方手を思わずぎゅっと握りしめる。

司はハッとして我に帰る。
軽い所で止める筈が、理性が飛んで夢中になってしまっていた。

瞬間、やり過ぎたかと莉子を恐る恐る見下ろす。

はぁーはぁーと息を乱す莉子の頬をそっと触る。

「ごめん…さすがにやり過ぎた。」
泣かせたく無いと、慌てて抱き寄せ頭を撫ぜる。

「…大丈夫です…ご褒美に…なりましたか?」
澄んだ目で見つめる莉子が愛おしくて、司は悪い事をしてしまった感が否めない。

「ありがとう。これ以上の褒美はない。」

涙目で、それでも気丈に笑ってくれる莉子が愛しくて、ずっと抱きしめていたいと思ってしまう。


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