冷酷な御曹司は虐げられた元令嬢に純愛を乞う
特別な時間
そこで突然、襖がスーと開くから、3人は驚いて一斉に襖の方を見る。
するとそこに司が怪訝な顔で立っていた。
今帰って来たかのようで、三つ巴の紺色の背広を着て、紺のネクタイをピシッと付け、手には山折れ帽子とカバンを持っている。
これぞ御曹司と言う出立ちで、一気に莉子は緊張する。
いつしか座って話し込んでいた麻里子も、
「お兄様、お帰りなさい。」
と嬉しそうに言って立ち上がる。
だけど、不自由な足は上手く立ち上がる事が出来ず、司も千代も慌てて駆け寄りそれを助ける。
「…何をそんなに、病人の前で大笑いして話しているんだ。」
麻里子の笑顔と対照的に、司は不機嫌そうだ。
それでも麻里子はお構いなしに、
「お名前をなかなか教えて頂けなくて、今ちょうど百合子さんに決まったところなの。」
嬉しそうに報告する。
「決まったって…勝手に名付けていい迷惑だろう。」
司は怪訝な顔を崩さない。
「百合子さんでいいわよね?」
すかさず麻里子が莉子に問う。
「はい…とても気に入りました。」
1人寝ていては申し訳ないと、莉子は布団から起き上がり、微笑みながらそう返事をする。
「そ、それなら別にいいのだが…。」
司の態度が何かに動揺したように、一瞬崩れる。
それを含みのある顔で麻里子は見つめ、にこりとほくそ笑んでいた。
「お兄様、彼女もこう言ってる事だし決定ね。
本当の名が分かるまで、貴方は百合子さんって呼ばせてもらうわ。」
満足そうにそう言った麻里子の朗らかな笑顔はこの場を和ませた。
「もう、夕食時だぞ。いつからここにいるんだ?」
そう兄に咎めら麻里子はハッとする。
帰って来て着替えもせずに直接この部屋に来て、随分時間が経っていた事に今気付く。
するとそこに司が怪訝な顔で立っていた。
今帰って来たかのようで、三つ巴の紺色の背広を着て、紺のネクタイをピシッと付け、手には山折れ帽子とカバンを持っている。
これぞ御曹司と言う出立ちで、一気に莉子は緊張する。
いつしか座って話し込んでいた麻里子も、
「お兄様、お帰りなさい。」
と嬉しそうに言って立ち上がる。
だけど、不自由な足は上手く立ち上がる事が出来ず、司も千代も慌てて駆け寄りそれを助ける。
「…何をそんなに、病人の前で大笑いして話しているんだ。」
麻里子の笑顔と対照的に、司は不機嫌そうだ。
それでも麻里子はお構いなしに、
「お名前をなかなか教えて頂けなくて、今ちょうど百合子さんに決まったところなの。」
嬉しそうに報告する。
「決まったって…勝手に名付けていい迷惑だろう。」
司は怪訝な顔を崩さない。
「百合子さんでいいわよね?」
すかさず麻里子が莉子に問う。
「はい…とても気に入りました。」
1人寝ていては申し訳ないと、莉子は布団から起き上がり、微笑みながらそう返事をする。
「そ、それなら別にいいのだが…。」
司の態度が何かに動揺したように、一瞬崩れる。
それを含みのある顔で麻里子は見つめ、にこりとほくそ笑んでいた。
「お兄様、彼女もこう言ってる事だし決定ね。
本当の名が分かるまで、貴方は百合子さんって呼ばせてもらうわ。」
満足そうにそう言った麻里子の朗らかな笑顔はこの場を和ませた。
「もう、夕食時だぞ。いつからここにいるんだ?」
そう兄に咎めら麻里子はハッとする。
帰って来て着替えもせずに直接この部屋に来て、随分時間が経っていた事に今気付く。