冷酷な御曹司は虐げられた元令嬢に純愛を乞う
司の思い
(司side)
2人と別れ、急ぎ路面電車に飛び乗る。
丁度空いている時間帯で程なく座れて一息付く。
モリヤマリコ…先程から頭で何度も呪文のように繰り返す。
リコと言う名は珍しく今まで聞いた事のない名だった。
ああ、通りで麻里子と千代が、彼女の名前を聞き出そうと躍起になっていた時、全く出て来なかった筈だと妙に納得した。
「モリヤマリコ…」
声には出さず唇を動かす程度に、彼女の名前をそっと呟く。
リコ…今朝見た、彼女の笑顔を思い出す。
モリヤマリコ、彼女にぴったりの可愛らしい名前だ。
そう思うと、途端に脈が高鳴り息苦しいまでに心拍が上がる。
どんな漢字で書くのだろうか?
彼女の事なら何だって知りたいと思う。
東雲家で虐げられていた話しを聞き、はらわたが煮えくり変えるくらいの怒りを覚えた。
それと共に、彼女がもうこれ以上辛い事がないように守り助けたいという、庇護欲にも似た気持ちが積もる。
ドキドキと鳴り続ける自身の心臓の音を聞きながら、これが何を意味しているのか司はまだ気付く余地も無い。
2人と別れ、急ぎ路面電車に飛び乗る。
丁度空いている時間帯で程なく座れて一息付く。
モリヤマリコ…先程から頭で何度も呪文のように繰り返す。
リコと言う名は珍しく今まで聞いた事のない名だった。
ああ、通りで麻里子と千代が、彼女の名前を聞き出そうと躍起になっていた時、全く出て来なかった筈だと妙に納得した。
「モリヤマリコ…」
声には出さず唇を動かす程度に、彼女の名前をそっと呟く。
リコ…今朝見た、彼女の笑顔を思い出す。
モリヤマリコ、彼女にぴったりの可愛らしい名前だ。
そう思うと、途端に脈が高鳴り息苦しいまでに心拍が上がる。
どんな漢字で書くのだろうか?
彼女の事なら何だって知りたいと思う。
東雲家で虐げられていた話しを聞き、はらわたが煮えくり変えるくらいの怒りを覚えた。
それと共に、彼女がもうこれ以上辛い事がないように守り助けたいという、庇護欲にも似た気持ちが積もる。
ドキドキと鳴り続ける自身の心臓の音を聞きながら、これが何を意味しているのか司はまだ気付く余地も無い。