冷酷な御曹司は虐げられた元令嬢に純愛を乞う
「近いうちに、東雲の家に戻り…戸籍の事、話し合いたいと思います。」
それを聞き…止めなければと気持ちが焦る。
…放っておけば彼女は彼女の意思で東雲家へ戻ってしまう。
そうしたらきっと良いように言いくるめられて、元の虐げられる生活に戻ってしまうだけだと心配になる。
「1つ自分に良い考えがあるのですが…。」
俺は頭の中で警告音が鳴り響く中、気が付けば心が勝手に動き、衝動的に話し始めていた。
「私にその身を委ねて頂けませんか?」
言葉を選び、出来る限り彼女が傷付かぬようにと慎重に話し出す。
「…それはどう言う…お考えですか?」
彼女は答えが思い浮かばないと疑問を浮かべ、澄んだ目で俺を真っ直ぐに見てくる。
後ろめたさと申し訳なさと、色々な感情が入り乱れ俺は言葉をなかなか発する事が出来ず、しばらく沈黙する。
そして、意を決して言い放つ。
「私と結婚して頂けないでしょうか。」
えっ⁉︎と彼女は固まり、今までになく驚きを見せる。
俺は隠していた心の内を言葉にしてしまった手前、既に引っ込む訳にもいかず、どうにか了承してもらいたいと必死に彼女に乞うしかない。
「直ぐに結婚とまでは言わなくても、とりあえず婚約でどうでしょうか?
貴方を助け出す明確な使命が欲しい。
そうすれば東雲から籍を簡単に抜く事が出来るし、貴方もここにずっと居られる。貴方にとって利点しかない筈です。」
バクバクと否応無く奏でる心臓を聞きながら、俺は彼女の返事を待つ。
しかし、彼女は瞬きを繰り返すばかりで返答に困っているようだ。
俺は彼女に手をあげた男だ。
怖い以外の…何の感情も無い男から急に求婚されても、ピンとこないだろう…断られても仕方が無い。
時を誤ったと俺自身思っているのだから。
「あの…。」
しばらく沈黙を保っていた彼女がついに口を開く。
「あの…それには…司様に、利が何も無いのではないでしょうか?
…私だけが助けてもらうばかりで、貴方に何の徳がありますか?」
思わぬ返答に次は俺が固まる番だった。
この後に及んでも他人の事を心配するのか?と、彼女に訴えたくなる気持ちを抑え、これは、少しは脈があるのでは?と自問自答する。
俺から見たら利しかないのだが…。
家事も出来るし人当たりも良く、何よりここまで惹かれる女子は今まで居なかったのだから。
彼女を辛い苦しい生活から助け出したい。
全ての火の粉から守りたい。そして願わくばずっと側にいて欲しいと。心の奥底で欲してしまったのだから。
「俺は26にもなって独り身なのは、箔がつかないと父から良く言われている。
そろそろ身を固めるべきなのは分かっているが、仕事ばかりの毎日でそれどころではない。…だから君が了承してくれれば、一石二鳥ではないか?」
少し強引だが、それ以外の正当な理由が見当たらない。彼女が少しでも承諾しやすいようにと言葉を並べる。
「でも…貴方にとって私は…
…大切な妹様に怪我をさせた憎き敵の家族であり…仇なのです。許される事では無いと、思うのですが?」
なるほど…その事は既に失念していた。
「貴方が東雲家の一員だろうと無かろうと、もはやそんな事はどうでも良いのです。
貴方が今まで東雲紀香に受けてきた仕打ちは、妹とが受けた傷と同じだ。
むしろ同志だと俺は思います。
麻里子も良い友達が出来たと喜んでいるし、特に気にする事は何もありません。
…ただ…俺が…貴方にしでかした傷が残るような事があれば…この一生を掛けて償っていきたいと思っています。」
誠心誠意の言葉込めて、もう一度深く頭を下げた。
それを聞き…止めなければと気持ちが焦る。
…放っておけば彼女は彼女の意思で東雲家へ戻ってしまう。
そうしたらきっと良いように言いくるめられて、元の虐げられる生活に戻ってしまうだけだと心配になる。
「1つ自分に良い考えがあるのですが…。」
俺は頭の中で警告音が鳴り響く中、気が付けば心が勝手に動き、衝動的に話し始めていた。
「私にその身を委ねて頂けませんか?」
言葉を選び、出来る限り彼女が傷付かぬようにと慎重に話し出す。
「…それはどう言う…お考えですか?」
彼女は答えが思い浮かばないと疑問を浮かべ、澄んだ目で俺を真っ直ぐに見てくる。
後ろめたさと申し訳なさと、色々な感情が入り乱れ俺は言葉をなかなか発する事が出来ず、しばらく沈黙する。
そして、意を決して言い放つ。
「私と結婚して頂けないでしょうか。」
えっ⁉︎と彼女は固まり、今までになく驚きを見せる。
俺は隠していた心の内を言葉にしてしまった手前、既に引っ込む訳にもいかず、どうにか了承してもらいたいと必死に彼女に乞うしかない。
「直ぐに結婚とまでは言わなくても、とりあえず婚約でどうでしょうか?
貴方を助け出す明確な使命が欲しい。
そうすれば東雲から籍を簡単に抜く事が出来るし、貴方もここにずっと居られる。貴方にとって利点しかない筈です。」
バクバクと否応無く奏でる心臓を聞きながら、俺は彼女の返事を待つ。
しかし、彼女は瞬きを繰り返すばかりで返答に困っているようだ。
俺は彼女に手をあげた男だ。
怖い以外の…何の感情も無い男から急に求婚されても、ピンとこないだろう…断られても仕方が無い。
時を誤ったと俺自身思っているのだから。
「あの…。」
しばらく沈黙を保っていた彼女がついに口を開く。
「あの…それには…司様に、利が何も無いのではないでしょうか?
…私だけが助けてもらうばかりで、貴方に何の徳がありますか?」
思わぬ返答に次は俺が固まる番だった。
この後に及んでも他人の事を心配するのか?と、彼女に訴えたくなる気持ちを抑え、これは、少しは脈があるのでは?と自問自答する。
俺から見たら利しかないのだが…。
家事も出来るし人当たりも良く、何よりここまで惹かれる女子は今まで居なかったのだから。
彼女を辛い苦しい生活から助け出したい。
全ての火の粉から守りたい。そして願わくばずっと側にいて欲しいと。心の奥底で欲してしまったのだから。
「俺は26にもなって独り身なのは、箔がつかないと父から良く言われている。
そろそろ身を固めるべきなのは分かっているが、仕事ばかりの毎日でそれどころではない。…だから君が了承してくれれば、一石二鳥ではないか?」
少し強引だが、それ以外の正当な理由が見当たらない。彼女が少しでも承諾しやすいようにと言葉を並べる。
「でも…貴方にとって私は…
…大切な妹様に怪我をさせた憎き敵の家族であり…仇なのです。許される事では無いと、思うのですが?」
なるほど…その事は既に失念していた。
「貴方が東雲家の一員だろうと無かろうと、もはやそんな事はどうでも良いのです。
貴方が今まで東雲紀香に受けてきた仕打ちは、妹とが受けた傷と同じだ。
むしろ同志だと俺は思います。
麻里子も良い友達が出来たと喜んでいるし、特に気にする事は何もありません。
…ただ…俺が…貴方にしでかした傷が残るような事があれば…この一生を掛けて償っていきたいと思っています。」
誠心誠意の言葉込めて、もう一度深く頭を下げた。