【SR】また、月明かりの下で会いましょう。
『私を―――拐って?』
私が腕を捕まれ連れて来られたのは、砂利で覆われた小さな駐車場だった。
「早く乗って?時間がない。」
私が助手席に乗ると同時にエンジンがかかる。
私がシートベルトを締めると、勢いよく車は走り出した。
ふと見た
あなたのその悲しげな横顔に胸が締めつけられた。
***
静まり返る車内━━━…
ドクドクドク…
心臓の鼓動は相変わらず
早いままで。
窓から景色を見て
気を紛らそうと思ったけど無理で。
私の頭の中はテンパっていた。
「あ…あああの」
緊張で言葉にならない声。
「どした?」
私にちらっと目線を
向けたあなた。
「何か…音楽が…聞きたいんですけど。」
「画面の1番上を押すとMDが聞けるよ…」
「1番上と…」
ピッ………
1番上を押した…つもりだった。