【SR】また、月明かりの下で会いましょう。
月を見て、いつも思う。
“…これが、私の運命なの?
私の未来は…何処にあるの?”
ってね。
勉強机に座ったまま
右に振り向けば
窓があって、そこから月が見える。
勉強に行き詰まった時とか、嫌な事があった時は、
こうやって月を見るんだ。
勉強机にはいつも
ウザったい分厚い参考書が何冊も積み重なっていて。
見るだけで吐き気がする。
こんな勉強なんて
社会ではきっと何も役にたたないんだよね。
そんな事を考えていた時。
コンコンコン…
ドアをノックする音が部屋に響く。
「姫乃、入るぞ。」
ガチャ…
返事をする間もなく
ドアは開かれた。
部屋に入ってきたのは
パパだった。
***
いきなり人の部屋入ってきたと思ったら、
『この人が将来、姫乃の結婚相手になる人だ。近いうちに、会ってもらうからな。』
と低く大きめな声で私を威圧するように言いながら、1枚の写真を私に差し出してきた。
写真には、私の結婚相手が写っているらしい。
今の言葉で、私の中の何かプツンと切れてしまった。
日頃からの不満・怒りが
一気に溢れでてしまった。
絨毯に叩きつけるように
写真を力を込めて放る。
『姫乃!?』
バンッ…
私は鞄とコートを持ち、
勢いよく部屋を飛び出した。
この家に私の未来はない。って、そう確信したから。
桜木 姫乃 16才。
日本の大手財閥、
桜木財閥の一人娘。
家を出ます。