弱みを見せない騎士令嬢は傭兵団長に甘やかされる
夜の鍛錬、とはいえ、それらは夕方に行うことになっていた。ヴィルマーと共にクラウスも顔を出す。昼間働いている者も多いため、朝と夜の鍛錬に参加をする者も多く、両方に顔を出す人数も案外と多い。
場所は、2つの廃墟を壊して草が生え放題になっていた場所。その雑草をみなで全部抜き、整地をした。そこで、みなで筋力をあげるトレーニングを10分ほど。それから、剣の腕前によってグループを作って、それぞれの鍛錬を一時間ほど行う。それから、希望者のみ分銅の鍛錬を行う。
「おっ、ヴィルマーだ!」
「ヴィルマー、来たのか」
参加している者たちのほとんどはヴィルマーを知っており、嬉しそうに声をかける。一時的にわあっと人々はヴィルマーを囲んであれこれと互いの様子を話し合っていた。ミリアもしばらくはそれを放置して様子を見ており、逆にヘルマが「はーい、そろそろ始めますよ!」とみなに声をかける。
筋力を鍛えるトレーニングはヘルマと他に2人の男性がメインになって行う。それをミリアとヴィルマー、それからクラウスは少し離れたところから見ている。
「この鍛錬を4日繰り返し、それから1日は体力作りで走っています。走るのを嫌がる者がいるので、その日は帰りにパンを配るようにしているんですが、案外と仕方なくみな来ていますね」
「パン?」
「警備隊の訓練に報酬はありません。ですが、労働にはそれなりの対価が必要でしょう」
「パンとは? どこかで買ってきているのか」
「いえ、焼いています」
「焼いて……?」
「わたしとヘルマで」
ヴィルマーは目を大きく見開いて「ええ!?」と驚きの声をあげる。
「それはどんなパンなんだ?」
「どうということもないパンですよ。鍛錬の合間を縫って、町長に頼まれた仕事をこなした報酬で材料を買っています。まあ、結構時間は必要ですが、鍛錬と鍛錬の間に」
「ええ~……俺も、そのパンが欲しいな」
「では、ヴィルマーさんも参加なさいます?」
ミリアのその言葉にクラウスは吹き出した。何故なら、ヴィルマーは「一つぐらい自分にくれないだろうか」と甘いことを心の中で思っており、それをクラウスはわかっていたからだ。そして、ミリアも実はそれは見通していたので、これは小さな意地悪だ。ううーんと唸るヴィルマー。
「走るのか……走るのか……ううん、そうだな……頑張るか……」
そのヴィルマーの答えにクラウスが「本気ですか!」とげらげら笑う。ミリアも「いつでもお待ちしていますよ」と言って笑えば、ヴィルマーは「一度だけな。一度だけ」と呻いた。
場所は、2つの廃墟を壊して草が生え放題になっていた場所。その雑草をみなで全部抜き、整地をした。そこで、みなで筋力をあげるトレーニングを10分ほど。それから、剣の腕前によってグループを作って、それぞれの鍛錬を一時間ほど行う。それから、希望者のみ分銅の鍛錬を行う。
「おっ、ヴィルマーだ!」
「ヴィルマー、来たのか」
参加している者たちのほとんどはヴィルマーを知っており、嬉しそうに声をかける。一時的にわあっと人々はヴィルマーを囲んであれこれと互いの様子を話し合っていた。ミリアもしばらくはそれを放置して様子を見ており、逆にヘルマが「はーい、そろそろ始めますよ!」とみなに声をかける。
筋力を鍛えるトレーニングはヘルマと他に2人の男性がメインになって行う。それをミリアとヴィルマー、それからクラウスは少し離れたところから見ている。
「この鍛錬を4日繰り返し、それから1日は体力作りで走っています。走るのを嫌がる者がいるので、その日は帰りにパンを配るようにしているんですが、案外と仕方なくみな来ていますね」
「パン?」
「警備隊の訓練に報酬はありません。ですが、労働にはそれなりの対価が必要でしょう」
「パンとは? どこかで買ってきているのか」
「いえ、焼いています」
「焼いて……?」
「わたしとヘルマで」
ヴィルマーは目を大きく見開いて「ええ!?」と驚きの声をあげる。
「それはどんなパンなんだ?」
「どうということもないパンですよ。鍛錬の合間を縫って、町長に頼まれた仕事をこなした報酬で材料を買っています。まあ、結構時間は必要ですが、鍛錬と鍛錬の間に」
「ええ~……俺も、そのパンが欲しいな」
「では、ヴィルマーさんも参加なさいます?」
ミリアのその言葉にクラウスは吹き出した。何故なら、ヴィルマーは「一つぐらい自分にくれないだろうか」と甘いことを心の中で思っており、それをクラウスはわかっていたからだ。そして、ミリアも実はそれは見通していたので、これは小さな意地悪だ。ううーんと唸るヴィルマー。
「走るのか……走るのか……ううん、そうだな……頑張るか……」
そのヴィルマーの答えにクラウスが「本気ですか!」とげらげら笑う。ミリアも「いつでもお待ちしていますよ」と言って笑えば、ヴィルマーは「一度だけな。一度だけ」と呻いた。