いつまでも、側に。
Ⅶ. 告白
3月。皆が口を揃えて言う、“別れの季節”になった。
……先輩が卒業する。
少し寂しかった。
“嘘カレ”のくせに、どうして好きになったんだよ、と自虐した。
「智紘くん、ちょっといい?」
先輩の声だった。
いつもは“ちーくん”って呼ぶくせに、今日だけちゃんと呼ぶなんてズルいぞ、と心の中で反駁した。
「……あの契約、破棄しよ。」
やっぱり。
そうだろうとは思っていた。
何より、契約期間が今年の6月28日までなんて長すぎたのだ。
所詮、僕は男除け。“嘘カレ”なのだ。
「……そうですか。」
「うん。だからさ、私と“正式に”付き合ってくれませんか?」
「……は?」
「あはは、ダメ、だよね……そうだよね」
「違います!」
気がついたら、大声で反論していた。
「えっと……だから、その、ほんとに僕でいいんですか。」
「うん。だって、好きだし。」
「……へ?」
「あれ、気づいてなかったの?私、結構前から君のこと好きだったよ。」
「……僕も。」
「僕も、結構前から好きでしたよ。璃玖先輩。」
初めて、先輩の下の名前を呼んだ。
「私たち、両想いだね。」
「そうですね。」
「受験勉強、頑張ってね。」
「はい。」
桜の花と璃玖先輩の姿が、青空に映えて綺麗だった。