家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
「ソフィア、ちょっと来て」
日の当たる窓際でまどろんでいたソフィアを呼んだのはイザベラだった。

なんの疑いもなくついていった先はすでに食べられそうな果実が十分に実ったあの木の前だった。
「おいしそうだね。今日の夜、パパがとってくれるって言ってたよ」

ソフィアは毎年食べている甘くて果汁のたっぷりはいった果実の味を思い出してつばを飲み込んだ。
「その前ひとつ取ってみない?」

「取るってどうやって?」
ソフィアだって早く果実の味をあじわいたい。

だけど木は高く、果実は上の方にしかなっていない。
自分たちの手の届く場所には葉っぱが生い茂っているばかりだ。

「あんたなら、簡単に取ることができるでしょう?」
イザベラの言葉にソフィアは驚いて目を丸くした。
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