家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
☆☆☆

体の自由を奪われてから一週間が経過していた。
もう縛られた手足の感触はなくなっている。

きっと今拘束を解かれたとしても自由には動けなくて逃げ出すことはできないだろう。
だけどソフィアの心はふとした瞬間にクリストフの言葉を思い出すことがあった。

必ず迎えに行く。
その言葉は1度思い出すと頭の中を駆け巡り、クリストフの体温まで思い出させる。

そういうときのソフィアは意味もなく頬が赤らんでいるので、できるだけうつむいて誰にもみられないようにした。

クリストフの言葉にすがりついても意味がないことはわかっている。
だって彼はただのこじきだ。

こじきに何ができるというのか。
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