家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
☆☆☆

こんな状態でもソフィアの心がまだ壊れていないのは、時折思い出すクリストフの言葉があったからだった。
必ず迎えに行く。

それは明日かもしれないし、もしかしたら今日かもしれない。
最初は半信半疑だったソフィアだけれど、今はその言葉にすがりつくようにして心を保っていた。

「ほら、起きろ」
ある目覚める前にマルクによって乱暴に体を起こされ、壁によりかからされた。

見るとマルクの手には体をふくための雑巾が握られている。
体はつい最近エミリーが吹いてくれたはずだと考えていると、鉄格子の向こう側にイザベラの姿を見つけた。

イザベラはなにかを企んだような笑顔を浮かべてマルクの様子を観察している。
手足の拘束がとかれてマルクの両手がソフィアの服にかかったとき、ソフィアはようやく今の事態を理解した。
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