家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
ハッと脳内が覚醒して、咄嗟にマルクから離れる。
けれど狭い室内だ。

すぐに追いつかれてしまう。
「俺はお前の体を拭いてやるつもりでここにいるんだ。無駄に逃げるんじゃねぇ!」

マルクの怒号が聞こえてきても逃げることをやめるわけにはいかない。
このままではマルクの前で裸を晒してしまうことになる!

逃げ惑いながら鉄格子にすがりつき、外にいるイザベラへ視線を向けた。
イザベラは楽しげに笑い声を立てていて、助けてくれる気はさらさらなさそうだ。

どうしてこんなことをするの?
私はずっとここで我慢して生きてきたのに、どうしてまだこんな仕打ちを?
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