家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
そのため口枷は外されるのだけれど、手足の拘束は相変わらずのままだった。
「何度も言ってるじゃない。マルクが私の服を脱がそうとしてきたの。だから私は……!」

「嘘をつくな!!」
ピシャリと言われてソフィアはギュッと目をつむる。

「イザベラは全部見ていたと言っている。イザベラがお前の体を吹くためにここに入ってきたとき、お前はイザベラへ向けて力を使おうとしたらしいな!? それを見たマルクが咄嗟にかけつけてイザベラの代わりに犠牲になったんだ!」

「そ、それは違うの! 本当にマルクが私を――!!」
「もう黙れ! 妙な力を持って生まれてきたかと思えば、性根まで腐っていたなんてな。イザベラのせいにするなんて、とんでもない娘だ!」

「待ってパパ行かないで! 私の話を信じて!」
口がきけたって。

会話できる相手がいたって意味はない。
自分が信用されるかどうかで話は全然代わってくる。

1人小部屋に取り残されたソフィアは床に丸まり、声を殺して泣いたのだった。
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