家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
仮に誰かに見られたとしても、果実が勝手に落ちてきたといいわけだってできる。
ソフィアは甘い誘惑を見上げて気持ちをぐらつかせる。

「準備をして」
イザベラに言われるがままに右手を上へと伸して果実に気持ちを集中させた。

そのとき窓越しにふたりの様子を見ていたママがなにかに気がついた。
そしてなにかを叫んでいるが、集中しているソフィアには聞こえない。

ソフィアが力を送り込むと果実がガサガサと音を立てて揺れる。
もう少しで落ちてくる……。

と、その瞬間だった。
「ママ! ソフィアが力を使ってる!!」

イザベラが叫んで家へと走り出した。
驚いたソフィアの手ぶれて力の行き先が隣の家とを隔てている木製の塀へと移動した。

その瞬間力が爆発し、塀が音を立てて折れ曲がる。
< 13 / 138 >

この作品をシェア

pagetop