家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
「本当はもう少し早く助けるつもりだったんだ。だけど、隣国のひとりの娘のためにはなかなか父親が了承してくれなくてね。仕方なく僕が独断で動くことになったんだ」

クリストフはなんでもない様子で盛大に笑ってみせた。

それって王様命令に背いたことになるんじゃないだろうかとソフィアはヒヤヒヤしていたが、どうやら反省文くらいで済みそうだと聞いてホッと胸をなでおろした。

「でも、私はここにいてもいいんでしょうか?」
ソフィアはようやく土下座の姿勢から立ち上がって、皇帝内を見回した。

どこもかしこも広くてきらびやかな装丁がほどこされていて、廊下の幅があの小部屋と同じくらいある。
更には服も用意してもらって、それはイザベラのドレスが見劣りしてしまうくらい立派な普段着だった。

ソフィアの目には眩しく、そして窮屈に感じるほどだ。
「僕が助けたくて助けた人だ。途中で放り出すようなこともしないよ」
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