家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
10年後の小部屋
どれだけ小部屋の中から声をあげても、その声が両親へ届くことはなかった。
窓の外へ向けて大声を上げてみたこともあるけれど、通りまでは遠く、その声はやはり誰にも届かない。
それに、大声をあげればすぐに家の誰かがやってきてソフィアを叱りつけた。
やがて小部屋のドアは取り払われて変わりに鉄格子がはめ込まれた。
小窓にも同じものが取り付けられて、気がつけば廊下には常に見張り番をしているマルクという大柄な男が立つようになった。
「ねぇ、マルク。今度はどこを歩く?」
小部屋の中からマルクに話しかけるけれど、マルクはまるで知らん顔をして古びた本を読み続けている。
この至近距離で話しかけているのだから、聞こえていないはずはないのだけえれど。
「もう少し綺麗な服がほしいんだけど、どう思う?」
窓の外へ向けて大声を上げてみたこともあるけれど、通りまでは遠く、その声はやはり誰にも届かない。
それに、大声をあげればすぐに家の誰かがやってきてソフィアを叱りつけた。
やがて小部屋のドアは取り払われて変わりに鉄格子がはめ込まれた。
小窓にも同じものが取り付けられて、気がつけば廊下には常に見張り番をしているマルクという大柄な男が立つようになった。
「ねぇ、マルク。今度はどこを歩く?」
小部屋の中からマルクに話しかけるけれど、マルクはまるで知らん顔をして古びた本を読み続けている。
この至近距離で話しかけているのだから、聞こえていないはずはないのだけえれど。
「もう少し綺麗な服がほしいんだけど、どう思う?」