家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
イザベラの目が更に輝きを増す。
一方ソフィアの心の中ではこんなことをしても大丈夫なのかという不安と罪悪感がうずまき始めていた。

絶対に誰にも見られちゃいけない。
いつか両親にそう言われたことを思い出して、手を止めて周囲を確認する。

ここは庭先だ。
いつ、だれが通りかかっても不思議じゃない。

「ちょっと、さっさとしないと誰かが来ちゃうでしょ」
ソフィアの不安をそのまま代弁したようなイザベラの言葉に驚く。

しかし、イザベラはイライラした様子でソフィアを見つけただけだった。
まさかイザベラは人の心が読めるのではにあかと思ったけれど、ただの偶然だったみたいだ。

ソフィアはホッと胸をなでおろしてまた右手を木に近づけた。
そして手のひらに自分の力を集中させる。
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