家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
でもそれでよかった。
今のソフィアにとって、自分自身こそがパーティーの中心人物だ。

目を閉じていなければ決して手に入れられなかった世界がここにある。
もう少しこのまま踊っていたい。

そう思った途端、ソフィアの肩を誰かが叩いた。
それも想像の世界の人だと思ったが、2度めに叩かれた瞬間ソフィアは弾かれたように目を開けた。

ソフィアの目の前に立っていたのは着飾った1人の青年だった。
金色の髪の毛にグリーンの目を持つ青年はとても整った顔立ちをしていて、ソフィアは一瞬で言葉を失った。

これもまた自分の想像の世界の人に決まっている。
こんなキレイな男の人を見たことがないもの。

そう思った再び目を閉じてみたけれど、今度は真っ暗な世界が広がるはばりでなにも見えはしなかった。
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