家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
「違うの、あれはイザベラが――」
「私が、なに?」

その声に息を飲んで視線を向けると、ママの後ろにいつの間にかイザベラが立っていた。
目を吊り上げて、腕組みをしている。

それを見るとソフィアの喉にものが詰まったように言葉がでなくなった。
「今イザベラの話はしてないだろう。庭先で力を使ったのかどうか聞いてるんだ」

それは……。
「使いました」

ソフィアはうなだれてそう答えるしかなかった。
そうしないとイザベラがなにをしでかすかわからない。

両親よりも長い時間一緒にいることの多い姉妹だ。
パパママに怒られるよりも、イザベラからの報復のほうが怖かった。

「こっちに来なさい」
パパに腕を掴まれたソフィアは引きずられるようにして部屋を出た。
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