家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
少しでいいからその服に触れてみたい。
そう思って右手を伸ばした瞬間、イザベラがサッと表情を変えて後ずさりをした。

「私になにをする気!?」
その破棄迫る声色にソフィアはハッと息を飲んだ。

自分が手を伸ばしてしまったから、力を使うと勘違いされたのだ。
「ち、違うの! とても綺麗だから少しでも触れてみたくて」

「はぁ? あんたみたいな汚い子がこの服に触れるですって? 冗談もほどほどにしてよね!」
イザベラの顔には今度は嫌悪感がありありと浮かんできている。

その隣ではマルクがニヤついた笑みを浮かべて見ているばかりだ。
「あんたがまた力を使おうとしたって、パパママに言ってやるから。覚悟してなさいよ!」

イザベラはそう言い捨てるとその場を去っていったのだった。
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