家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
☆☆☆

「この小窓から外の景色を見るのはとっての楽しいのよ。みんな私には気が付かずに早足でどこかへ向かっていくの」

翌日、マルクがいびきをかきはじめたのを見計らってソフィアはクリストフへそう話しかけた。
クリストフは目を細めて小窓の外を眺める。

「これが、楽しい?」
「そうよ。この窓があると夜には満点の星空だって見ることができるし、部屋の中が真っ暗闇になることもないんだから」

「満点の星空なら外で見たほうが綺麗に見える」
「そんなイジワル言わないでよ」

さっきから必死でここの良さを伝えているのだけれど、クリストフにはなかなか伝わらない。
朝から表情は冴えないままだ。
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