家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
「ソフィア」
途端にクリストフがソフィアの体を抱きしめていた。

たくましい両腕を背中に回されたソフィアは驚いて身動きができなかった。
ただ、急に近い距離になった自分たちの心音が重なり合うのを聞いていた。

「必ず迎えに来るから、それまで待っていてくれ」
クリストフはソフィアの耳元でそうささやくと、もう振り返ることなく街を出たのだった。
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