家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
ソフィアは鉄格子を背にして今にも泣き出してしまいそうな表情になった。
いやいやと何度も左右に首をふる。

「力を使ってマルクを眠らせるなんて最低ね」
言ったのはイザベラだった。

イザベラの頬にはイジワルな笑みが張り付いていて、今この状況を楽しんでいることは明白だった。
普段はそんなイジワルも気にしないソフィアだったが、今は状況が悪すぎた。

「ごめんなさいパパママ。どうしても外へ出たかったの」
弁明する声が震えた。

恐怖で全身が冷たく氷りつき、逃げようにも道は阻まれて動くこともできない。
「もう誰もお前のことは信用していない。マルク。ソフィアの手足を拘束した上で、小部屋に隔離しなさない」

パパの命令にマルクが予め準備していたロープを持ち出す。
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