家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
☆☆☆

大きな声で叫んだことは裏目に出てしまった。
毎回毎回叫ばれてはたまらないと、その後イザベラが布でソフィアの口まで塞いでしまったのだ。

ソフィアの口枷が取られるのは食事のときだけとなった。
これをきっかけにマルクの勤務態度はいつも以上に怠慢になり、常に居眠りをしているようになった。

食事を運んでくるエミリーは強引にパンを口の中にねじ込んでくるようになり、ソフィアの生活は悪化した。
こんなことになるなら、あのときクリストフを一緒に逃げていればよかった。

そう思って泣く日の連続だった。
「気分はどう？」

その声に顔をあげると、鉄格子の向こうにイザベラの姿があった。
本気でソフィアのことを心配して声をかけているとは思えない。
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