傷心した私が一夜を共にしたのはエリート俺様同期~いつも言い合いばかりだったのに、独占欲強め、嫉妬心剥き出しな程に溺愛してくるのですが?~
「い、一之瀬……人が見てるよ……」
くっつかれて嬉しくない訳じゃないけど、いくら空いている車内と言っても人は居る訳で、向かいの席に座っているサラリーマンのおじさんとか、ヘッドホンで音楽を聴いてる同世代くらいの男の人とか、ちらりとこちらへ視線を向けているのが分かっているから少し恥ずかしくて離れようとするも、それを一之瀬が許してはくれない。
「別にいいじゃん。知らねぇ奴らだし、迷惑掛けてる訳でもねーし」
「そ、それはそうかもしれないけど……」
「つーかさ、名前」
「え?」
「今はもう二人きりなんだから、名前で呼んでよ」
「あ……う、うん、そうだったね」
「まあ俺としては、二人きりじゃなくても名前で呼んで欲しいし呼びたいけどな。特に……館林の前では」
「そ、それは……」
安心していたのも束の間、急に話題に上がった館林さん。
やっぱり一之瀬は館林さんにかなりの敵意を抱いているみたいだ。
「アイツ明らかに陽葵狙いだし……俺らが付き合ってる事聞いても顔色一つ変えなかった。不安なんだよ、俺」
「不安?」
「これからも仕事にかこつけてお前に言い寄って来そうだし、それに……アイツ、俺なんかよりも大人だし、余裕もあるから……陽葵が俺に愛想尽かしアイツに乗り換えたりしたらって……」
強気な態度だったかと思えば急に自信を無くして弱気な発言をする一之瀬。
そんな彼を私は可愛いと思ってしまうし、ヤキモチを妬かれるのは、やっぱりちょっと嬉しい。
すっかり意気消沈してしまった一之瀬の手をギュッと握り返した私は、
「……館林さんの事は格好良い人だとは思うけど、別にタイプって訳じゃないから乗り換えたりなんてしないよ。それに、私は丞との事を真剣に考えてる最中だもん……ちょっと言い寄られたからってすぐに心変わりなんてしない。そういうのはもう、止めたの。だから、不安にならないで。ただ、ところ構わず嫉妬心を剥き出しにされるのはちょっと困るから、そこだけは、直して欲しいかな」
館林さんには何の感情も無い事、今は一之瀬の事を真剣に考えているから簡単に心変わりをしたりしない事、それから嫉妬心を剥き出しにされ過ぎるのは少し困る事を伝えた。
そんな私の言葉を聞いた一之瀬は、
「……なぁ、今日陽葵の部屋に泊まってもいい?」
さっきよりも強く手を握りながら、そう問い掛けて来た。
くっつかれて嬉しくない訳じゃないけど、いくら空いている車内と言っても人は居る訳で、向かいの席に座っているサラリーマンのおじさんとか、ヘッドホンで音楽を聴いてる同世代くらいの男の人とか、ちらりとこちらへ視線を向けているのが分かっているから少し恥ずかしくて離れようとするも、それを一之瀬が許してはくれない。
「別にいいじゃん。知らねぇ奴らだし、迷惑掛けてる訳でもねーし」
「そ、それはそうかもしれないけど……」
「つーかさ、名前」
「え?」
「今はもう二人きりなんだから、名前で呼んでよ」
「あ……う、うん、そうだったね」
「まあ俺としては、二人きりじゃなくても名前で呼んで欲しいし呼びたいけどな。特に……館林の前では」
「そ、それは……」
安心していたのも束の間、急に話題に上がった館林さん。
やっぱり一之瀬は館林さんにかなりの敵意を抱いているみたいだ。
「アイツ明らかに陽葵狙いだし……俺らが付き合ってる事聞いても顔色一つ変えなかった。不安なんだよ、俺」
「不安?」
「これからも仕事にかこつけてお前に言い寄って来そうだし、それに……アイツ、俺なんかよりも大人だし、余裕もあるから……陽葵が俺に愛想尽かしアイツに乗り換えたりしたらって……」
強気な態度だったかと思えば急に自信を無くして弱気な発言をする一之瀬。
そんな彼を私は可愛いと思ってしまうし、ヤキモチを妬かれるのは、やっぱりちょっと嬉しい。
すっかり意気消沈してしまった一之瀬の手をギュッと握り返した私は、
「……館林さんの事は格好良い人だとは思うけど、別にタイプって訳じゃないから乗り換えたりなんてしないよ。それに、私は丞との事を真剣に考えてる最中だもん……ちょっと言い寄られたからってすぐに心変わりなんてしない。そういうのはもう、止めたの。だから、不安にならないで。ただ、ところ構わず嫉妬心を剥き出しにされるのはちょっと困るから、そこだけは、直して欲しいかな」
館林さんには何の感情も無い事、今は一之瀬の事を真剣に考えているから簡単に心変わりをしたりしない事、それから嫉妬心を剥き出しにされ過ぎるのは少し困る事を伝えた。
そんな私の言葉を聞いた一之瀬は、
「……なぁ、今日陽葵の部屋に泊まってもいい?」
さっきよりも強く手を握りながら、そう問い掛けて来た。