さよなら尾崎くん

「母が道を踏み外してしまったことには、必ず理由がある。理由が分かれば解決策もある。町で噂になっている幽霊騒ぎもそう。原因が分からないから、みんなが恐れる。馬鹿馬鹿しいことだが、俺がいつかカガクを持って原因を突き止めてやる」

話に一区切りをつけた彼は「長々と済まなかったな」と言い、少し悪びれた様子で背中を向けた。秋風で揺れるブランコの乾いた音が周囲に響く中、速足で遠のいていく尾崎君に向かって、諭すように言った。

「尾崎君、幽霊は本当にいるよ」

声に反応して尾崎君は脚を止めた。そんな彼を気に留めず、僕も帰路を目指して歩き始めていた。


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