トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜
「おおー!やっぱりか。女房の言ってた通りだな」
1週間後。
映画の取材で顔を合わせた藤堂監督に、瞬と明日香は直接報告をした。
この日はアシスタントマネージャーではなく、自分が同行すると言って富田が車を運転してくれ、紗季も明日香につき添ってくれていた。
取材の前に控え室に挨拶に行くと、監督は妙に意味ありげにニヤニヤと二人を見る。
「お揃いでどうしたんだい?お二人さん」
どうやら監督は既に見当がついているらしかった。
結婚することを伝えると、まるで自分のことのように喜んでくれる。
「良かったなー、瞬、明日香ちゃん」
「ありがとうございます」
二人が頭を下げると、監督は声のトーンを落とした。
「で?キューピッドは俺だろ?」
「…は?」
「いやー、参ったな!記者会見でなんて答えよう。『いかにも、私が二人の愛のキューピッド』、いや、『キューピー藤堂』にするか?」
「あの、監督?」
しばらく一人芝居を繰り広げた後、監督はようやく顔を戻した。
「それで、婚姻届はもう出したのか?」
「いえ。仕事でお世話になっている関係者の皆様に報告してからと思っています」
「律儀だなー。そんなことしてると週刊誌にすっぱ抜かれるぞ」
すると富田が身を乗り出す。
「藤堂監督。事務所としましても、発表のタイミングは慎重に議論しております。おっしゃる通り、あまり遅いと先に週刊誌に書かれてしまうので、それはなんとしても避けたいと。ですが、今発表すると映画の話題に水を差してしまうかもしれませんし…」
「そんなこと気にしてるのか?めでたい話題じゃないか、何をためらうことがある。それに映画も注目を集めるぞ。そういう水ならどんどん差せ!」
「は、はあ…」
富田が勢いに押されていると、監督は瞬と話し始めた。
「瞬、お前どうやって発表するつもりだ?」
「はい。まずはファンクラブ会員宛にメールを送ります。その後マスコミに文書を送って公式SNSを更新。あとは、自分の言葉で話せる機会があればと思っています」
「うーん、それって芸能レポーターを前にってことだろ。そこまでする必要あるか?また嫌味な質問されるぞ?」
「どんな質問にも、きちんと誠意を持って答えます。それが自分の義務だと思うので」
「やーれやれ。ホントにお前はアイドルの鑑だよ」
監督は頭の後ろで手を組んでしばらく思案すると、よし!と何かを決意したように顔を上げる。
「瞬。10月10日に発表しろ」
「10月10日ですか?でも、その日は大事な映画の公開初日ですし…」
「だからだよ。舞台挨拶で俺もお前とマスコミの前に出る。そこでお前が嫌な質問されたら、俺が盾になってやるから」
それに…と、監督はグッと顔を近づけてニヤリと笑う。
「映画の宣伝効果もバツグン!いやー、注目されまくっちゃうぞ。あはは!」
「はあ…」
瞬は困ったように富田を見る。
しばらく考えあぐねていた富田は、やがて瞬に頷いた。
「確かにそれがいいかもしれない。瞬、お前どんな質問がきても大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
「分かった。監督、そうさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「おう。任せとけ!」
「明日香ちゃんも、それでいい?」
富田に振り返られ、思わず明日香は背筋を伸ばす。
「はい!もちろんです」
「よし。じゃあ決まりだ」
そして10月10日。
サザンクロスのメンバー、柏木 瞬の結婚のニュースが日本中を駆け巡ることになった。
1週間後。
映画の取材で顔を合わせた藤堂監督に、瞬と明日香は直接報告をした。
この日はアシスタントマネージャーではなく、自分が同行すると言って富田が車を運転してくれ、紗季も明日香につき添ってくれていた。
取材の前に控え室に挨拶に行くと、監督は妙に意味ありげにニヤニヤと二人を見る。
「お揃いでどうしたんだい?お二人さん」
どうやら監督は既に見当がついているらしかった。
結婚することを伝えると、まるで自分のことのように喜んでくれる。
「良かったなー、瞬、明日香ちゃん」
「ありがとうございます」
二人が頭を下げると、監督は声のトーンを落とした。
「で?キューピッドは俺だろ?」
「…は?」
「いやー、参ったな!記者会見でなんて答えよう。『いかにも、私が二人の愛のキューピッド』、いや、『キューピー藤堂』にするか?」
「あの、監督?」
しばらく一人芝居を繰り広げた後、監督はようやく顔を戻した。
「それで、婚姻届はもう出したのか?」
「いえ。仕事でお世話になっている関係者の皆様に報告してからと思っています」
「律儀だなー。そんなことしてると週刊誌にすっぱ抜かれるぞ」
すると富田が身を乗り出す。
「藤堂監督。事務所としましても、発表のタイミングは慎重に議論しております。おっしゃる通り、あまり遅いと先に週刊誌に書かれてしまうので、それはなんとしても避けたいと。ですが、今発表すると映画の話題に水を差してしまうかもしれませんし…」
「そんなこと気にしてるのか?めでたい話題じゃないか、何をためらうことがある。それに映画も注目を集めるぞ。そういう水ならどんどん差せ!」
「は、はあ…」
富田が勢いに押されていると、監督は瞬と話し始めた。
「瞬、お前どうやって発表するつもりだ?」
「はい。まずはファンクラブ会員宛にメールを送ります。その後マスコミに文書を送って公式SNSを更新。あとは、自分の言葉で話せる機会があればと思っています」
「うーん、それって芸能レポーターを前にってことだろ。そこまでする必要あるか?また嫌味な質問されるぞ?」
「どんな質問にも、きちんと誠意を持って答えます。それが自分の義務だと思うので」
「やーれやれ。ホントにお前はアイドルの鑑だよ」
監督は頭の後ろで手を組んでしばらく思案すると、よし!と何かを決意したように顔を上げる。
「瞬。10月10日に発表しろ」
「10月10日ですか?でも、その日は大事な映画の公開初日ですし…」
「だからだよ。舞台挨拶で俺もお前とマスコミの前に出る。そこでお前が嫌な質問されたら、俺が盾になってやるから」
それに…と、監督はグッと顔を近づけてニヤリと笑う。
「映画の宣伝効果もバツグン!いやー、注目されまくっちゃうぞ。あはは!」
「はあ…」
瞬は困ったように富田を見る。
しばらく考えあぐねていた富田は、やがて瞬に頷いた。
「確かにそれがいいかもしれない。瞬、お前どんな質問がきても大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
「分かった。監督、そうさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「おう。任せとけ!」
「明日香ちゃんも、それでいい?」
富田に振り返られ、思わず明日香は背筋を伸ばす。
「はい!もちろんです」
「よし。じゃあ決まりだ」
そして10月10日。
サザンクロスのメンバー、柏木 瞬の結婚のニュースが日本中を駆け巡ることになった。