トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜
「いやーん、明日香ちゃん。おめでとう!」
控え室のドアを開けるなり、沙奈と明菜が飛びついてきた。
「あ、ありがとう。って、え?二人ともどうして私って…」
「もちろん!分かってたわよ」
「そうなのね…」
結婚報告をするたびに、実は色んな人にバレていたのだと分かり、明日香は驚いた。
と同時にこんなにも多くの人が、そっと自分達を見守ってくれていたのかと胸が熱くなる。
「今日柏木さん、マスコミの前に出て平気なの?私、話題をごまかそうか?」
心配そうに尋ねる沙奈に首を振る。
「いえ、大丈夫です。沙奈さんにはご迷惑をおかけしてすみません」
「迷惑だなんて、そんなことないわよ。私もとっても嬉しい!でも柏木さんに何かあれば、いつでも助け船を出せるように頑張るわね」
「ありがとうございます」
沙奈の支度を整えると、明菜と共に沙奈につき添って舞台袖に移動する。
既に瞬は富田や陽子と一緒にスタンバイし、司会者の女性と打ち合わせしていた。
「色々な声が聞こえてくるかと思いますが、まずはいつも通りの映画の舞台挨拶でお願いします。フォトセッションに移ったら、はけて頂いて構いません」
「分かりました!お任せください。柏木さん、この度は本当におめでとうございます」
「ありがとうございます。ご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願い致します」
やがて藤堂監督がやって来て、瞬の肩をバシバシと叩いた。
「いやー、緊張するな!えーっと、左手の指輪を見せてくださいって言われたら、二人でこうやって手を揃える?」
「どうしてですか?!それに俺、指輪してませんよ」
「敢えて見せるんだよ。どうせカメラは、お前の左手を狙って撮ってくるだろうからな」
「だからって、どうして監督と?!」
そうこうしているうちに時間になった。
明日香は沙奈に続いて瞬の衣装を整える。
ネクタイの結び目を調節し、うんと頷くと、瞬が「明日香」と呼びかけた。
「はい」
顔を上げた明日香を見て、瞬はふっと笑みを洩らす。
「緊張してる?」
「いえ、そんな。私が緊張することなんて、なにも…」
そう言いつつ、表情はこわばったままだ。
(なんて言われるのだろう。酷い言葉をかけられたりしたら…)
すると瞬が、ポンと明日香の頭に手を置いた。
「大丈夫だよ、心配するな」
そう言って、明日香の瞳を覗き込む。
「俺を信じろ、明日香」
力強く頼もしいその言葉に、明日香は大きく頷く。
「うん、瞬くんを信じる。行ってらっしゃい!」
「ああ、行ってきます」
眩いライトの中へと歩いて行く瞬の背中を、明日香は祈るように見つめていた。
控え室のドアを開けるなり、沙奈と明菜が飛びついてきた。
「あ、ありがとう。って、え?二人ともどうして私って…」
「もちろん!分かってたわよ」
「そうなのね…」
結婚報告をするたびに、実は色んな人にバレていたのだと分かり、明日香は驚いた。
と同時にこんなにも多くの人が、そっと自分達を見守ってくれていたのかと胸が熱くなる。
「今日柏木さん、マスコミの前に出て平気なの?私、話題をごまかそうか?」
心配そうに尋ねる沙奈に首を振る。
「いえ、大丈夫です。沙奈さんにはご迷惑をおかけしてすみません」
「迷惑だなんて、そんなことないわよ。私もとっても嬉しい!でも柏木さんに何かあれば、いつでも助け船を出せるように頑張るわね」
「ありがとうございます」
沙奈の支度を整えると、明菜と共に沙奈につき添って舞台袖に移動する。
既に瞬は富田や陽子と一緒にスタンバイし、司会者の女性と打ち合わせしていた。
「色々な声が聞こえてくるかと思いますが、まずはいつも通りの映画の舞台挨拶でお願いします。フォトセッションに移ったら、はけて頂いて構いません」
「分かりました!お任せください。柏木さん、この度は本当におめでとうございます」
「ありがとうございます。ご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願い致します」
やがて藤堂監督がやって来て、瞬の肩をバシバシと叩いた。
「いやー、緊張するな!えーっと、左手の指輪を見せてくださいって言われたら、二人でこうやって手を揃える?」
「どうしてですか?!それに俺、指輪してませんよ」
「敢えて見せるんだよ。どうせカメラは、お前の左手を狙って撮ってくるだろうからな」
「だからって、どうして監督と?!」
そうこうしているうちに時間になった。
明日香は沙奈に続いて瞬の衣装を整える。
ネクタイの結び目を調節し、うんと頷くと、瞬が「明日香」と呼びかけた。
「はい」
顔を上げた明日香を見て、瞬はふっと笑みを洩らす。
「緊張してる?」
「いえ、そんな。私が緊張することなんて、なにも…」
そう言いつつ、表情はこわばったままだ。
(なんて言われるのだろう。酷い言葉をかけられたりしたら…)
すると瞬が、ポンと明日香の頭に手を置いた。
「大丈夫だよ、心配するな」
そう言って、明日香の瞳を覗き込む。
「俺を信じろ、明日香」
力強く頼もしいその言葉に、明日香は大きく頷く。
「うん、瞬くんを信じる。行ってらっしゃい!」
「ああ、行ってきます」
眩いライトの中へと歩いて行く瞬の背中を、明日香は祈るように見つめていた。